五十肩(凍結肩):3つの段階、回復までの期間、理学療法の役割
著者 Care Physio チーム · 公開日 2026年6月22日 · 更新日 2026年10月3日
はっきりしたけがもないのに、肩が次第に痛くなり、やがて動かしにくくなる。これが五十肩(凍結肩)の典型的な経過です。医学的には癒着性関節包炎と呼ばれます。この記事では、関節の中で実際に何が起きているのか、どんな人に多いのか、3つの段階と目安の期間、ほかの肩の痛みとの違い、自分でできること、そして各段階で理学療法がどう役立つかを説明します。一般的な情報であり、直接の診察に代わるものではありません。
凍結肩では何が起きているのか
肩の関節は、本来ゆるみのある結合組織の袋「関節包」に包まれていて、腕をあらゆる方向に動かせます。凍結肩ではこの関節包に炎症が起き、厚く硬くなって縮みます。関節内のゆとりが失われ、痛みとこわばりが数か月かけてゆっくり進みます。
最も特徴的なのは、自分で腕を動かしても、他人に動かしてもらっても可動域が制限されることです。腕を外へひねる動き(髪をとかすために頭の後ろへ手を回すなど)が、多くの場合、最初に、そして最も強く制限されます。ふつうの筋肉痛や腱のけがでは、介助して動かせば可動域はずっと広いのが一般的です。
どんな人に多いのか
- 40〜60歳、男性より女性に多い。
- 糖尿病:リスクが数倍高く、経過も長引きやすい。甲状腺の病気もリスクを高めます。
- 肩を長く動かさなかったとき:骨折、手術、脳卒中のあとや、三角巾を何週間も使ったあと。
- 片方の肩に起きたことがある人は、後にもう片方にも起こりやすくなります。
はっきりしたきっかけがまったくないことも多く、この病気ではそれが普通です。
3つの段階と目安の期間
経過は段階的で、人によって異なります。以下の数字はよく報告される範囲であって、約束ではありません。
- 痛みの段階(freezing)、およそ2〜9か月。痛みがゆっくり強くなり、特に動かしたときと夜間に強く、痛む側を下にして眠りにくくなります。可動域が狭まり始めます。
- こわばりの段階(frozen)、およそ4〜12か月。痛みは少し和らぐことが多い一方、こわばりが最も目立ちます。着替え、後ろポケットに手を伸ばす、高い棚に手を届かせることが難しくなります。
- 回復の段階(thawing)、およそ5か月〜2年。動きが少しずつ戻ります。
全体では1〜3年続くことが多い病気です。大半の人はよく回復します。長期の研究では、数年後にわずかなこわばりや軽い痛みが残る人もいますが、たいていは生活の妨げにはなりません。朗報は、肩が自然に「溶ける」のを待つ必要はないということです。日常生活での肩の働きは、経過の間ずっと守り、改善していけます。
知っておきたい症状
- 肩の奥の鈍い痛み。上腕に広がることもあります。
- 数日ではなく、数週間〜数か月かけて増すこわばり。
- 夜間の痛み。特に痛む側を下にして横になったとき。
- 「後ろへ手を回す」動作の困難:ブラジャーの着脱、髪をとかす、シートベルトをつかむ、上着の袖に腕を通す。
診断はどのように行われるか
凍結肩は主に身体診察で判断します。決め手は、特に外へひねる動きが、自分で動かしても介助してもらっても制限されるという特徴的なパターンです。凍結肩ではレントゲンはふつう正常で、医師は変形性関節症(関節のすり減り)や腱の石灰化など、ほかの原因を除外するために撮影します。超音波やMRIが必ず必要なわけではなく、この年代では「異常」とされる所見が痛みのない肩にもよく見られます。
自分でできること
- 我慢できる痛みの範囲で動かし続ける。1日数回のやさしい動きは、まったく動かさないより良く、鋭い痛みを押して無理に動かすよりも良いのです。
- 動かす前は温め、あとは冷やす。運動前に10〜15分温めると、たいてい肩がほぐれて動かしやすくなります。あとでズキズキするなら冷やします。
- 寝る姿勢。あおむけか、痛くないほうの肩を下にして、痛む腕を胸の前で枕に乗せます。
- 無理のない軽い作業にはその腕を使う。周りの筋肉が弱らないようにするためです。
- 強いマッサージは避ける。周囲の筋肉へのやさしいマッサージは心地よいこともありますが、医療職でない人に肩を「引っぱられる」「ひねられる」と、痛みが悪化するおそれがあります。
各段階で理学療法ができること
治療は段階に合わせます。こわばりの段階に向いた運動が、初期には痛みをかえって強めることがあります。
- 痛みの段階:主な目標は痛みを和らげ、残っている動きを守ることです。やさしい可動域運動、負荷の軽い徒手療法、楽な腕の置き方(ポジショニング)の助言、活動量の調整を行います。この段階では医師が関節内へのステロイド注射を検討することがあります。研究のレビューでは、注射と自宅での運動を組み合わせると、最初の数か月の痛みと動きの改善が早いことが示されています。その判断は医師が行い、理学療法は並行して続けます。
- こわばりの段階:可動域を取り戻すことに焦点が移ります。長めに保持する段階的なストレッチ、理学療法士による関節モビライゼーション、毎日行う自宅プログラム。強さは反応を見ながら少しずつ上げ、決して力ずくでは行いません。
- 回復の段階:肩と肩甲骨まわりの筋力とコントロールを取り戻し、避けていた活動(スポーツ、物を持ち上げる、頭上での作業)に戻っていきます。
凍結肩に対する運動と徒手療法のエビデンスは限られたものから中程度で、万能の技法はありません。研究から示唆されるのは、段階的で規則正しく、自宅でも続けるプログラムのほうが、ただ待つより機能が良くなる傾向があるということです。非常に硬く、改善しない肩には、専門医が関節包拡張術(ハイドロダイレーテーション)や関節包解離術などを検討することがあり、その後も理学療法が続きます。
Care Physioでは
初回は約60〜90分かけて丁寧に評価します。どの方向がどれだけ制限されているかを調べ、段階を見極め、パターンが凍結肩に合わない場合はそれを見極め、必要に応じて医師の受診をおすすめします。そこから明確な計画を立てます。クリニックで何を行うか、自宅で毎日どの運動をするか、いつ再評価するか。レントゲンなどの結果があればお持ちください。必須ではありません。
先に医師の診察を受けるべきとき
- 転倒や打撲のあとに始まった肩の痛み。特に肩の形が変わっている場合は、骨折や脱臼の可能性があります。
- 発熱、肩の腫れ・熱感・赤み、または全身のだるさ。
- 突然の脱力、しびれ、手まで広がるピリピリ感。
- 左肩の痛みに胸の痛み、息切れ、冷や汗が伴うとき:心臓の問題のサインの可能性があります。すぐに最寄りの救急外来へ。
- がんの既往、原因不明の体重減少、夜間の安静時に悪化し続ける痛み。
よくあるご質問
五十肩は治るまでどのくらいかかりますか?
全経過で1〜3年が一般的で、個人差が大きく、糖尿病があると長引きやすい傾向があります。変えられるのは、その間に肩がどれだけ使えるかです。早くから痛みを抑え、動きを守ることで、こわばりの段階を過ごしやすくすることができます。
自然に治りますか?
時間とともに改善する人は多いのですが、「待つ」ことは、眠れない夜と固まっていく肩が何か月も続くことを意味しがちで、こわばりが残る人もいます。指導された運動が「溶ける」時期を早めるとは証明されていませんが、その間の機能を守り、痛みを減らす助けになります。
レントゲンやMRIは必要ですか?
必ずしも必要ではありません。診断は臨床的に行います。画像検査は、けがの既往がある、別の原因が疑われる、パターンに合わない症状がある場合に使い、医師が判断します。
マッサージを受けてもいいですか?
首や肩の筋肉へのやさしいマッサージは、心地よければ構いません。医療職でない人による関節への強い操作は避けてください。関節包が炎症を起こした関節は、痛みが増しやすいのです。
どんな運動なら安全ですか?
ウォーキング、フィットネスバイク(エアロバイク)、下半身のトレーニングは安全で有益です。腕については、ご自身の段階に合わせて組んだプログラムに従ってください。頭上での反動を使う動きや重い物の持ち上げは、可動域が戻るまで控えるのが無難です。
主な出典:Challoumas D ほか(2020)、凍結肩の治療に関するシステマティックレビューとネットワークメタアナリシス、JAMA Network Open。Hand C ほか(2008)、凍結肩の長期予後、Journal of Shoulder and Elbow Surgery。Page MJ ほか(2014)、癒着性関節包炎に対する徒手療法と運動、Cochrane Database of Systematic Reviews。この情報は一般的なものであり、医療専門職による直接の診察に代わるものではありません。